もうひとつの被爆電車
今年もまた暑い真夏を迎えようとしています。新聞やTVでも 「原爆」 や 「被爆」 の文字を頻繁に目にする季節になりました。今年は、被爆 60周年という節目の年でもあり、特にそんな話題が多いのかもしれません!? そんな訳で、この雑記帳でも少しだけ関係した話題を・・・ やはり広島に在住している身としては、どうしても避けて通れない話題のような気がしているものですから。
広島に原爆が投下されてから 60年も経った現在、現役で営業運行されている広電・被爆電車650形 の 4両 (651~654号) は余りにも有名だと思う訳ですが、もうひとつの被爆電車をご存じでしょうか?? おそらく、路面電車ファン (マニア) の方々はよーくご存じだとは思いますが、一般にはそれほど知られた存在ではないのかも?? ・・という気がしています。
写真は、そのもうひとつの被爆電車 156号の写真で、現在は営業に出ることもなく、薄暗い江波車庫の奥でひっそりと保管されています。この 150形車両は大正 14年に製造された広電初の半鋼製車両でして、製造年でいくと、現存する広電の路面電車の中では最も古い車両になるものと思われます。60年前に原爆が投下された際、江波付近で被爆した 156号は 「中破」 の状態となったようです。被爆後に修理・整備されてしばらく営業運行されていたようで、以前ここで紹介した書籍 「広電が走る街今昔」 の中で、昭和 30年寺町付近、そして昭和 41年横川新橋を走る 156号の古い写真が掲載されているのを見つけました。さらにその後は、一旦廃車とされたものの、昭和 62年に復籍を果たし、江波車庫にて被爆電車として保管されるに至ったようです。
写真でご覧の通り・・ 綺麗に磨かれてテカテカ光っている被爆電車 156号の車体を見ますと、普段からしっかりと手入れがなされている様子が伺えます。ただ、車庫の奥でひっそりと保管されているというのは、ちょっと勿体ないような気がして仕方がありません。勿論営業運行に出して欲しいなんて無茶なことを言うつもりはありませんが、何かしら人目につきそうな被爆電車 156号の出番をつくってあげてもいいような気がしています。
この記事の最後に、以前コメントいただいた企画展のお知らせを転載・・・
被爆60年 「ヒロシマと路面電車 ~被爆をのりこえて~」
・期間:平成17年7月26日(火) ~ 8月14日(日)
・場所:広島市こども文化科学館
・http://www.pyonta.city.hiroshima.jp/jigyou/kikakuten/2005summer1.htm
広島市こども文化科学館主催ということで、どちらかというと子供・ファミリー向けの企画展なのかもしれませんが、是非とも覗いてみたいと思っています。皆様も是非・・・。
** 勿論、以前の広電・荒手車庫の時と同様、許可を得て江波車庫内見学・写真撮影させていただいてます。
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コメント
はじめまして。
googleで写真の良い撮り方のページはないかなぁ、と探していましたところ、こちらのページを発見いたしました。
私は広島市在住の広島市勤務です。
見慣れた風景の写真がたくさんあり、それがどれもとてもキレイで、ホームページの内容もとても充実しているので、思わずコメントさせていただきました。
今、私は自社のホームページ作りを担当しているのですが、写真がうまく撮れません。特に接写です。何かコツはあるのでしょうか。
それでは、今後も素敵な写真とローカル色豊かな楽しいブログを期待しています。
投稿: yokota | 2005.07.24 00:57
この156号は、650形の様に被爆当時の姿を留めておらず、戦後に車体が更新されています。見た目は車体が短いことと方向幕の改造がなされていないことを除けば、650形よりも新しい感じがします。
この156号は被爆電車であるという価値よりも、明治・大正時代の復元車ではない純粋な二軸単車としての価値が高いそうです。全国を見回しても、この形の車両はほとんど見当たりません。
投稿: ひろしま人 | 2005.07.24 06:00
こんばんは
私はこの電車は一度も実物を見たことがありません。来歴については、ひろしま人さんのおっしゃるとおりかと思います。
昔、「ザ・ベストテン」の中継で、「シブがき隊」がこの電車の中で暴れていたのが懐かしいです。
投稿: Cat-Tram | 2005.07.24 19:01
> yokotaさん
この雑記帳(ブログ)を見つけていただいてありがとうございます。
> 写真がうまく撮れません。特に接写です。
> 何かコツはあるのでしょうか。
ん~、どうでしょうか?? どんなカメラを使用されているのか、何を撮ろうとされているのか・・・ 詳しいところが分からないので、なかなか答え難いのですが・・・。接写は、機材(カメラ・レンズ等)さえあれば誰でも撮れると思います。例えば、所謂コンパクトデジカメで、接写モードが無いような場合は、やや難があると思いますけど・・・。
投稿: T.Kaze | 2005.07.24 21:38
> ひろしま人さん
こんばんは。手元のやや古い本で、150形の更新前(だと思いますが、やや自信無し)らしき写真を見ると、確かにかなり外観も変わっているように見えますね。
> 純粋な二軸単車としての価値が高いそうです。
・・・なるほど。当時の路面電車は、二軸単車が当たり前だったようですが、今となっては希少価値ですね。
> Cat-Tramさん
こんばんは!
> 「シブがき隊」がこの電車の中で暴れていた
微かな映像の記憶しかないのですが、あれは156号だったんですか?? 全く知らなかったのですが、今考えると、なんという暴挙を・・ と思ってしまいます(笑)。
投稿: T.Kaze | 2005.07.24 21:56
こんばんは。
昨日コメントさせていただきましたyokotaです。
コメントにコメントを頂いており、びっくりしていたところです。あいまいな内容でしたのに、丁寧にお返事いただいてありがとうございました。
撮ろうとしているものはペンのような鉛筆のような細長いもので、所謂コンパクトデジカメで撮ろうとしています(接写モードは一応あるのですが上手く撮れない。。。)。
写真に対しては全くの素人ですがこれから(接写も含め)、インパクトのある素敵な写真を撮りたいと思っています。
こちらのページはまた遊びに来させていただきますので、よろしくお願いいたします。
投稿: yokota | 2005.07.25 00:35
子供文化科学館の企画展、タイミング良く紹介して頂いてありがとうございます。
式典参列のあと、寄ってみようかなぁって思います。
夜の灯籠流しまで時間がありすぎて、いったん実家に帰るんですが、それでもせっかくだからどこか行こうかなぁって。
原爆資料館は、子供にはちょっと怖いだろうしって。
戦争をしらない僕が、子供に何を教えたらいいのかなぁって思うんですが、学ぶのは僕の方なんですよねぇ。
大人を見て子供は育つところもありますから。
投稿: のっつー | 2005.07.25 07:16
> yokotaさん
接写モードといっても、カメラによって近づける距離に差がありますので、その辺り確認されたら・・ と思います。
> のっつーさん
こんばんは!
式典にも参列されるんですね・・・ そう言えば、今年の8月6日は土曜日ですね!
> 戦争をしらない僕が、子供に何を教えたらいいのかなぁって思うんですが、学ぶのは僕の方なんですよねぇ。
全く同感です!
投稿: T.Kaze | 2005.07.27 02:14
企画展を再度ご紹介いただき,ありがとうございます。
150形の更新前の姿は,「広電が走る街今昔」の112ページに出ています。
広電150形は,製造メーカが同じ神戸市電H車と同型。そしてH車のボギー版がI車,I車の改良型がJ車=広電582号という系譜があります。
元神戸の582号は更新しているものの骨格が残っているので,顔だけ見れば似ています。
このほか,元大阪の762号は,昭和20年6月1日の第2回大阪大空襲で焼失。復旧する際に塗られたクリームとマルーンの2色塗りがその後の大阪市電の基本塗装になった歴史を持つ車両です。
ハノーバー238号も1928年製造後,1950年に,復興規格型の車体に載せ替えているので,戦災のダメージがあったのかもしれません。
年代的な経緯が156号と似通っているのも興味深いところです。
車両の歴史だけをみても他の都市とのつながりや,戦災について考えることができるのが広電のすごさでしょうね。
投稿: aibo | 2005.07.30 23:43
> aiboさん 詳細な情報をありがとうございます。
> 150形の更新前の姿は,「広電が走る街今昔」の112ページに
今、本を見ながら書いてます。昭和30年代の153号ですね。153号は車体更新をしていないのでしょうか!? 更新されている現在の156号と比較すると、車体自体の外観はほとんど変わっていないように感じました。
街の発展や歴史背景などとの関わりを知りながら路面電車を見ていくのは、非常に興味深く面白いですね。
投稿: T.Kaze | 2005.07.31 02:32
T.Kazeさん
152,153,160は車体更新していませんでした。
側面の扉間の窓の数が更新前は8個,更新後は6個になっています。この写真ではわかりにくかったですね。企画展の車内張りポスターにも出ていたとおもいます。
投稿: aibo | 2005.08.01 20:29
> aiboさん こんばんは
確かに・・ よく見ると窓の数が違いますね。
何故、窓が8枚から6枚になったのかはよく分かりませんが、色々想像しながら見比べてみるのも面白いですね!
投稿: T.Kaze | 2005.08.01 23:30
京阪神鉄道ファンくらぶでは、現在、製作段階ですが、広電650・156形の被爆電車の形式と詳細・諸元を載せていきます。今の子供たちに昔の電車はこうだったいうようなこと知ってほしいためにします。今、現在は広電にお願いしまして、形式と詳細・諸元をブログに載せるために認可をいただきました。今のブログサイトの電車を載せる場合は各鉄道会社の認可が入ります。京阪神鉄道ファンくらぶは関西7社と一畑電鉄と広島電鉄からは認可いただいております。無断で載せるとプロバイダーから消されるおそれがありますよ。僕も個人的に広島電鉄は大好きです。約16年間、広島電鉄クリークです。広島に行くとすぐに広電に乗ります。
投稿: 京阪神鉄道ファンくらぶ | 2005.08.04 23:34
> 京阪神鉄道ファンくらぶさん
アドバイスどうもありがとうございます。どこまでが自由に掲載できて、どこからが許可を必要とするのか・・・ なかなか判断が難しいと思っています。
当ブログでは、自分なりの判断基準でもって、できるだけ電車マニア的な視点にならないように配慮しながら記載しているつもりですが、場合によっては不都合な点があるかもしれません?? 万が一、関係者の方などから具体的なご指摘がありましたら、適切な対処をしたいと考えています。また、機会があれば、広電さんにも確認してみたいと思っています。
投稿: T.Kaze | 2005.08.05 23:26