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2012.08.25

広電・路面電車運賃値上げは消費税率アップへの対応!?

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中国新聞にて昨日24日、路面電車 広電20~30円値上げ検討 来年 車両低床化を促進 の見出しで、広島電鉄・路面電車の運賃値上げの記事が掲載されました。次いで、一日遅れで本日の朝日新聞・広島面でも 広電運賃値上げ検討 路面電車20~30円 の見出しで同様の記事が掲載されています。まずはそれらの新聞記事から引用・・

広島電鉄(広島市中区)は24日、路面電車の運賃引き上げを検討していることを明らかにした。現在150円の市内線をはじめ、全路線で20~30円の値上げ幅を想定しており、宮島線を含めた均一運賃にすることも視野に検討中だ。【2012/08/25付け 朝日新聞】

一応、運賃値上げの狙いとしては次のように記載されています・・

運賃は、1997年に市内路線で130円を150円に上げて以来、据え置いてきた。値上げにより、2027年までに40編成を超低床車両に更新したい考えで、電停のバリアフリー化も進める。同社の車両124編成のうち48編成が、製造から45年以上経過。更新は1編成 2億~3億円かかり、現行運賃では難しいという。路面電車の乗客数は昨年度は前年より1.5%増の5472万人。3年ぶりに増えたが、10年前より3.5%少ない水準。【2012/08/24付け 中国新聞】

2027年までに40編成を超低床車両に更新したい ということは、更新は1編成 2億~3億円 を前提として車両更新に要する総経費を計算してみると・・
  2億~3億円/編成 × 40編成 = 80億~120億円
となります。
以前、3両編成超低床車導入予定の発表がなされた時、現行の最新超低床車 5100形グリーンムーバー・マックス(5車体3台車連接)の車体価格が約3億円に対して、3両編成に短縮した場合にはその60%、つまり約1.8億円となると発表されていました。それからすると、更新は1編成 2億~3億円 というのは多少多めに試算しているようにも思えますが、諸々の経費や電停改修等々も含めて、まぁ良しとしましょう。

更に、今後も昨年度の乗客数 5472万人 を維持できると仮定して、運賃20~30円アップの場合の収入増がどれくらいになるかを計算してみますと・・
  20~30円/人 × 5472万人/年 ≒ 11億~16億円/年
年間11億~16億円の収入増ということは、10年間もすれば 40編成分の車両更新経費(80億~120億円)の元が取れる勘定になりそうです。たかが20~30円ですが積もり積もれば何とやら・・ですね。実際は 2027年までの 15年間で 40編成を更新予定であり、更に車両の耐用年数はもっと長いこと等も考え合わせると、20~30円の運賃アップで広電さんはホクホクじゃないかという気もするのですが・・。

ここでピンときたのが、この度の路面電車運賃値上げはズバリ、消費税率引き上げへの対応が大きな狙いなのではないかということで、過去の運賃値上げ時期を調べてみました・・
・1989年 4月1日~ 消費税 3%導入
・1989年12月9日~ 路面電車市内運賃 120円→130円にアップ
              (※白島線は 80円→90円)
・1997年 4月1日~ 消費税率 3%→5%にアップ
・1997年11月1日~ 路面電車市内運賃 130円→150円にアップ
              (※白島線は 90円→100円)

過去の実績を見ると、やはり広電・路面電車の市内運賃は消費税導入/税率引き上げに追随して値上げされていることが伺えます。中国新聞にも朝日新聞にも、そんな消費税の「消」の字も記述が無いことが気にくわないというか、不満に感じてしまいます。何故に消費税との関わりについて突っ込まないのか、敢えて伏せているのか・・!??
どこか他のメディアで消費税率引き上げとの関わりについて突っ込んでいないかとネット検索してみたところ、NHKオンラインで以下の記述を見つけました・・

今回の値上げの検討も消費税率の引き上げを前にした時期と重なりますが、広島電鉄は「値上げの検討と消費税率の引き上げに直接関連はないが、今後、値上げの幅や開始時期を考えていく中で消費税を考慮することはあり得る」と話しています。また広島電鉄は広島市内を中心に路線バスも運行していますが、「競合するバス会社があるので、バス運賃の値上げも検討するかどうかはまだわからない」としています。 08月24日 09時05分 【NHKオンライン/広島県のニュース「路面電車の運賃値上げ検討へ」】

私個人的にはこの時期、消費税率引き上げには断固反対ではありましたが・・ 最終的に消費税率アップもやむなしという結論であれば、当然ながら路面電車の運賃値上げも致し方ないのだろうと考えます。値上げの検討と消費税率の引き上げに直接関連はない といったような見え透いた言い方は余りしない方が良いと思うのですが、如何でしょうか!?
この記事では、バス運賃に関して 値上げも検討するかどうかはまだわからない とはありますけれど、この調子でいくと消費税率の引き上げに合わせて、各バス会社横並びで運賃一律アップも必至という気がして仕方がありません。

** 過去の関連記事・・
 > 広電・3両編成低床車グリーンムーバーmini!? -2012.05.27…新車導入
 > 広電・市内線電車 回数乗車券 -2009.07.16 …運賃関連

** 参考文献
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コメント

T.Kaze さん、こんにちは。ご無沙汰しています。
まず、NHKオンラインの文章の私の解釈では、「値上げの検討と消費税率の引き上げに直接関連はないが、」 の後、「今後、値上げの幅や開始時期を考えていく中で消費税を考慮することはあり得る」と続いていますから、捻って「考慮することはあり得る」≒“考慮します”と考えれば“値上げを検討し始めたのはいろいろ物入りだからだけど、ちょうど消費税率の引き上げが決まったので、消費税を考慮して値上げを考えます”と読めますよね。お役人の答弁みたいですが…。
『第103期 広島電鉄 事業報告』によれば、鉄・軌道事業は、久々に2017万円の営業損失を出しています。理由として修繕費用の増加が上げられています。株主総会での質疑では『2012年1月・2月の架線切れ事故への対応で修繕を前倒しした。』という趣旨の応答でした。
「広島電鉄サービス向上計画」を達成するには、一部補助金があてにできるにしても残りは自己負担しなければいけません。駅前大橋線が地下案に決まったら(って、もう秋なのにまだ決まっていませんね)十数億円ぐらいは負担することを表明している以上、利用者負担をお願いするという方向は経営側から見れば自然な考えだと思います。
是非については、私のブログの方に書きました。

投稿: shirusu | 2012.09.02 11:07

> shirusuさん
こんばんは。。
NHKオンラインの記事ですが… 私も基本的にshirusuさんの解釈とほぼ同じように捉えています。しかしながら、簡単な計算をした上で推測するに、20~30円の運賃値上げには消費税率引き上げ分が既に折り込んであるとしか思えないのですが・・。(これは勝手な思いこみかもしれません)
それから、近い将来の消費税率引き上げは規定路線であり、ここ数年の間に2回も3回も運賃値上げをする訳にもいかないと思いますので、最低十年前後先まで見越して値上げ幅を考えるのが妥当でしょう。もしも私が経営側なら、当然そういったことを考えて対処/発表をすると思います。
そんな風に考えていると、「値上げの検討と消費税率の引き上げに直接関連はない」 とか 「消費税を考慮することはあり得る」といったような表現は、かえってイメージ的にマイナスではないかと思うんですよね。。

投稿: T.Kaze | 2012.09.02 21:14

> shirusuさん
上のコメントへ追記します。

電車開業100周年を迎えるにあたり広島電鉄サービス向上計画が発表されたのは当然ご存じだと思います。
http://www.hiroden.co.jp/improve-service/pdf/service.pdf

その中で、『超低床車両を計画的に導入します。(今後10年間程度で10編成程度)』 という記述がありました。そして今回の報道では『2027年までに40編成を超低床車両に更新』、つまり今後15年間で40編成の超低床車を導入ということです。
両者をそのまま信じるとすると、今後10年間で10編成、それから更に5年間で30編成の超低床車を導入するということになります。この計画はややバランスが悪いようにも思えるのですが、如何でしょうか!? 超低床車導入を主な目的として来年から運賃値上げするなら、もっと導入ペースを早めても良いような気がします。実際、運賃値上げで間違いなく収入増が見込めるのですから。

投稿: T.Kaze | 2012.09.02 21:55

T.Kaze さん、おはようございます。
中国新聞 2012年9月5日付 朝刊に広島電鉄宮島線・市内線で運賃の均一化を行い、一部区間では値下げにする検討を広島電鉄が行っているという記事が掲載されたのは確認しされていると思いますが、信用乗車制度も見据えた検討のようです。
とりいそぎ、お知らせまで。

投稿: shirusu | 2012.09.06 07:27

> shirusuさん
広電の運賃に関する記事をお知らせいただき、ありがとうございました。中国新聞の記事はネットでチェックしていたのですが、情報量が少し多い紙面の方も確認しました。
8月24日の記事では 「全路線で20~30円の値上げ」 と言っておきながら、今回の記事では値下げ区間あり、更には白島線など最大70~80円の運賃値上げとは・・ びっくりです。
宮島線に関しては値下げされる区間もあることをしっかりアピールする意図を感じましたけど、値上げされる区間の値上げ幅が大き過ぎるのが非常に気になるところです。

それにしても、広電・路面電車の運賃に関する記事は、様子伺いしながら意図して情報を小出しにしているのでしょうか!? 「超低床車両を計画的に導入」 の件も同様ですが、何か小出しの情報がチグハグで真実味が湧いてこないんですよね・・。

投稿: T.Kaze | 2012.09.06 22:49

おはようございます
2012年10月15日現在、広島駅~紙屋町はバスと路面電車の運賃が同じです
もし路面電車が値上げされたとしたら、バスの利用者が増えるでしょうか
広島電鉄が電車賃を値上げした時、他社(広島バスや広島交通など)がバス代を同様に値上げするとは考えにくいです

投稿: やまちゃん | 2012.10.15 08:01

> やまちゃんさん
こんばんは。コメントありがとうございます。
『広島電鉄が電車賃を値上げした時、他社(広島バスや広島交通など)がバス代を同様に値上げするとは考えにくい』 ということですが・・ 本当に 「考えにくい」 ことでしょうか??
先頃、社会保障・税一体改革関連法案が成立して、その結果として消費税率は2014年4月に8%、2015年10月に10%へと引き上げられます。この消費税率引き上げと前後してバス運賃も値上げされると考えた方が自然だと思いますが如何でしょうか!?
ただ、広電・路面電車の運賃が170~180円になるのに対して、バス (広島駅~紙屋町) も同じ運賃で合わせてくるかどうかは微妙だと思います。一応、路面電車は低床車導入を前提に20~30円の運賃値上げをうたっていますので。バスの場合も何らかの理由がない限り20~30円もの値上げはやりにくいような気がします。取り敢えず、150円区間であれば、10円の運賃値上げで消費税率引き上げ分をまかなえますので、最低10円+α の値上げとなるのではと考えますが・・。

投稿: T.Kaze | 2012.10.17 01:32

T.Kaze さん、こんばんは。
井笠鉄道(井笠バス)の経営破綻についての関連記事を読んでいると、中国運輸局によれば、30台以上の路線バスを運行する中国地方のバス事業者 29社の内 2012年3月期決算では24社が赤字だった。とありましたので、消費税の引き上げ分以上の値上げを申請するバス会社もあるかもしれませんし、企業戦略的に小幅にとどめるバス会社もあるかもしれません。
今から方針を決めている事業者は少ないのではないかと思いますが、私は“中の人”ではないので想像するしかないのですが。

投稿: shirusu | 2012.10.18 22:05

> shirusuさん
あ、その関連記事は中国新聞ネット版で読みました。
記事を読んで、まさか広島市内中心市街地を運行している路線バスが赤字ということは無いだろうと思いましたけど・・。
それから、赤字路線には県市町の補助金をあてて賄っているという記載もありましたが、今後、補助金頼りの運営も益々厳しくなってくるでしょう。そうなると、やっぱり消費税率引き上げに便乗して運賃値上げするしかないというのが規定路線という気もします。。

投稿: T.Kaze | 2012.10.18 23:48

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